旅の思い出

半径5kmを切り取る旅 page8

いつもと違う自分

 

 

最近はすっかり寒くなり、装いも秋に。

 

寒いのはあまり好きではないが、秋は空気も澄んで紅葉などの景色が美しくなる。

 

目で楽しむだけでも十分すぎるくらい自然は美しいが、カメラのある今年はいつもよりも秋を楽しみに思う。

 

 

 

そんな僕だが、ここの所ありがたい事にいろいろと忙しくさせてもらっている。

 

毎月の演奏に加え前々から考えていた楽しみなライブのリハも重ね、他にもウエディングムービーの作成、写真、これからの活動のリサーチなど…

 

何とかやる事がひと段落して気分転換しようという事になり、宇品とマリーナホップにそれぞれのんびりスナップしに出かけた。

 

 

 

僕は港町が好きだ。

 

明確な理由はなく、物心ついた時から観光などで港町に行くと不思議と落ち着くし、懐かしさを感じる。

 

 

 

両日とも天気に恵まれ、特にマリーナホップに行った日はまさに雲ひとつ無いというぐらいの晴天で絶好の写真日和だった。

 

 

食事やカフェタイムこそゆっくりしたが、やはり写真人、それ以外はひたすら歩いて写真を撮っていた。

 

知らない土地だったがとりあえず何となくの目標だけ決めて後はぶらぶら歩く。

 

被写体へのセンサーを全開にして、撮りたいものに出会ったら立ち止まってカメラを向ける。

 

気が済んだら歩き出し、また立ち止まってシャッターを切る。

 

 

 

ちょっとはゆっくりしたらどうだと思われるかもしれないが、僕にとってはこの時が最高のリフレッシュであり、幸せな時間なのだ。

 

 

 

しかし今回はいつもと少し違う所があった。

 

 

 

ご存知の通り僕は写真を撮る時、仕事でない限りほとんどがモノクロで撮る。

 

だが何とこの2日はカラーで撮った写真が半分近く占めていたのだ。

 

 

ここぞという写真はモノクロで撮ったりもしたが、基本の設定はカラーにしてしまっていたし「カラーで撮りたい」と思う場面も多々あった。

 

初日の宇品はそうでもなかったが、次に行ったマリーナホップの時は頭の中はカラーで撮るイメージが出来上がっていたぐらいだった。

 

 

 

フィルムシミュレーションは宇品はProNega-Hiで、マリーナホップではVelviaを主に使用した。

 

富士フイルムの色表現は巷でも好評で、折角x-proシリーズを使っているのにモノクロばかりで撮るのは勿体無いという声も聞こえるぐらいだったが、今回は思う存分富士フイルムの良さを堪能出来た。(フジはモノクロの表現も勿論良い。)

 

 

 

Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4 / ProNega-Hi
Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4 / ProNega-Hi
Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4 / ProNega-Hi
Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4 / Velvia
Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4 / Velvia

 

 

 

ちなみにProNega-Hiの方は彩度を落として「夢の中」をイメージした現像にしている。

 

モノクロばかりで撮りはするが、カラーで現像する時の練習はしているのが役に立った。(どうやるかは秘密)

 

 

Velviaは色味などをちょっと調整したぐらいであまり手は加えていない。

 

 

 

カラーで撮るかモノクロで撮るか。

 

簡単な話なように思えるが、作品として写真を撮る身からすれば、大きな違いとなる。

 

 

僕は普段カメラを持って歩いている時、カメラの設定をモノクロにしてしまい、モノクロで写真を撮る事を前提で景色を見ている。

 

モノクロ脳といった所だろうか。

 

 

カラーで撮る事を前提にするのとは考え方が違うのだ。

 

 

 

だから今回カラーで写真を撮ったのは凄く良い経験だった。

 

いつもと違う自分に出会えた、そんな感覚だ。

 

 

忙しくて大変な時期を越えた後だったのもあり、自分の事をより知れて面白かった。

 

 

 

いつもと違う自分が見えた事で、自分の許容範囲が増えた気がする。

 

こんな自分もいるんだ、と思う事で自分を受け入れる範囲が広がる。

 

お陰で心に少し余裕が出来た。

 

 

自分には合わない、自分のやる事ではない、と思った事でもやってみれば案外何か変わるかも知れない。

 

意外な一面を見つけても、「これもありか」と思えればどんどん自分の幅も広がるだろう。

 

 

忙しい日々がまた来るだろうが、今は前よりも楽に乗り切れそうな気がしている。

 

 

 

Fujifilm x-pro1 + voightlander Nokton classic 35mm F1.4
5+
kida toshihiro
広島にて写真・音楽などで活動中のアーティスト モノクロスナップやポートレートなどで写真家として活動。 音楽ではジャズやポップスなど幅広いジャンルを演奏するベーシスト。 禅や仏教など日本文化を学んでおり、普段から和服を着ている。 スナップをする時は仕方なく洋服だったが、最近はアーティスト感を出した方がストリートスナップは楽だと気付いた。