旅の思い出

半径5kmを切り取る旅 page 9

12月に入り、最近はもうすっかり冬になってきた。

今年の秋は寒くないな、と思って過ごしていたらいつのまにか寒くなり、冬の空に変わってしまった。

 

さて、そんな寒くなった最近でも、ちゃんとスナップ旅は続けている。

寒いと動くのが億劫になるが、冬の澄んだ空気の中撮る写真は格別なので出来るだけカメラを持って歩くようにしている。

 

少し前に銀山町周辺を歩いた。

パルコの辺りから流れ川を抜けた先にあるその辺りは、少し古い建物もあるが川沿いに行くとマンションなどが並ぶ少し歪なところ。

しかしその歪さがどこか懐かしさを感じる由縁だとも思う。

 

川沿いには散歩道があり、木々が枯れた姿で並んでいる。

のんびり散歩をする人、落ち葉を集めてくださるボランティアの人、平日の昼はとても静かで穏やかだった。

 

 

紅葉が綺麗だったが、いつもと変わらずモノクロで写真を撮り進める。

立派な銀杏の木があり、その渋く輝く葉の黄色と青い空の対比が美しかったので、それだけカラーで撮った。

カラーとモノクロを切り替えられるのがデジタルのいいところだ。

 

Fujifilm x-pro 1 voightlander nokton classic 35mm f1.4

 

 

モノクロの写真は、夏はその湿度感、秋や冬はその枯れて寂しい空気感を捉える事が出来る。

季節によって味が変わってくるし、それを上手く捉える事が出来た写真が撮れた時は嬉しい。

 

 

 

そんな事を考えながらのんびりと歩く。

 

道路を歩く鳩を危なく思ったり、木の根や落ち葉の質感に見惚れたり

 

自然を感じながら歩くのはとても気持ちがいい。

 

 

Fujifilm x-pro 1 voightlander nokton classic 35mm f1.4

 

 

レンズは(35mm換算で)50mm一本でほとんど撮る。

最近は50mmがあれば困る事がほとんどない。

それにノクトンの描写、デザインが好きだし、持っていないと不安になってしまう部分がある。

50mmのレンズ1本なら何も不安にならないのだが、35mm一本だけだと不安になってしまうから一応2本持ち歩いてもいた。

でも結局付け替えるのも面倒だし、50mmがあればいいやと思ってしまうので一本だけになることが多くなった。

 

何事もシンプルなのがいい。

便利なものが増えてきたけれど、不便な事を楽しむのもまた面白いものだ。

散歩だってそうで、車や電車で移動するのは便利で楽だが、歩く事で沢山の事に気づくことが出来る。

時間もかかるし、今の時期は寒いがそれもまた楽しい。

 

 

Fujifilm x-pro 1 voightlander nokton classic 35mm f1.4

 

4+
kida toshihiro
広島にて写真・音楽などで活動中のアーティスト モノクロスナップやポートレートなどで写真家として活動。 音楽ではジャズやポップスなど幅広いジャンルを演奏するベーシスト。 禅や仏教など日本文化を学んでおり、普段から和服を着ている。 スナップをする時は仕方なく洋服だったが、最近はアーティスト感を出した方がストリートスナップは楽だと気付いた。