僕にとっての旅
旅ポストの正式オープン、おめでとうございます。
このサイトに沢山の人が集ってより沢山の感動と、背中を後押し出来る良い記事が増える事を願っています。
僕の場合少し毛色の違う視点の記事にはなってしまいますが、勿論僕自身も 読んでくだった方に感動してもらったり何かを始めるきっかけになるような記事を書けるよう努めていきますので、皆さまどうぞよろしくお願い致します。
さてそんな旅ポスト、世の中には僕と同世代で世界中のいろんな所を回って様々な経験をしている人がいて、そんな人達の記事を見て僕も一般の読者と同じように感動している。
自分が持っていない経験をしているというのはとても羨ましく、記事や添えられた写真から伝わってくるその人の気持ちはとても美しい。
正式オープンし、早速数記事がアップされて賑わって来た訳だが、今回はせっかくなので僕の記事のテーマについての話をしたいと思う。
まず僕がここに記事を投稿させていただくようになった経緯については初回の記事にて語っている。
テーマはタイトルにもなっている「半径5kmを切り取る旅」。
あらゆる物を感じながら、あらゆる物に感動しながらあてもなく歩き回る僕のスナップ散歩を旅と定義して、そこで感じたものや感動した事などを綴るというものだ。
行程を全ては決めず、スマホは極力さわらず、五感をフルにした状態で歩き回る。
そして形として残したいと思ったものにはカメラを向け、そっとシャッターを切る。
海外や遠い土地に行く訳ではなく、歩いていけるせいぜい半径5kmぐらいが僕の舞台で、同じ所を通る事も多々あるが、それでも毎回何か違うものを感じる事が出来る。
そんなささやかな旅路を記したものが僕の旅ポストだ。
そして今回語るのはこのテーマについてなのだが、ベースにあったのは僕自身の「毎日起こるあらゆる事に意味がある」という考えだ。
しかし、それを旅と定義してこうして記事にしようと思えるようになったのは、僕の大好きな写真家の方の言葉に背中を押されたからだ。
その写真家というのは、ハービー山口さん。
20代でロンドンに渡り写真家として活動を始め、ロンドンのミュージシャンや市井の人々の姿を写してその作品が高く評価される。
日本に帰国してからも福山雅治さんや尾崎豊さんなどのアーティストの写真、そして日本で暮らす人々の姿を写し続けている写真家だ。
ハービーさんは幼い頃に腰椎カリエスという病気にかかり、幼少期や10代はご本人曰く「孤独と絶望に打ちひしがれた」時代だったが10代後半に回復、以来「生きる希望」をテーマに写真を撮られている。
ハービーさんの作品はスナップポートレートというスタイルで、文字通りスナップ写真とポートレートを組み合わせたもの。
被写体はハービーさんが出会った道行く人、働く人、遊んでる親子など一般の方。
そんなハービーさんの作品の凄い所は写った人達の表情だ。
モデルになってくれた方々の表情は皆イキイキしたものだったり、深みのある表情だったりで、テーマの通り希望に溢れている。
そして作品を見た人もまたそこからエネルギーをもらえる、そんな素敵な写真を撮られる方だ。
僕はハービーさんの作品で、初めて写真を見て涙を流すという経験をした。
別に凄く特別な情景が写っている訳ではなく、ハービーさんがさっき出会って声をかけたであろう若者カップルが、カメラに笑顔を向けている、それだけの写真。
それだけなのに、なぜか凄く幸せな気持ちになり、人の温もりを感じる。
写っているカップルの本当に幸せそうで希望に満ちた顔。
シャッターを切る時きっとハービーさんはとても優しい気持ちだったのだろう。
それが写真から伝わってきて、自然と涙が浮かんだ。
人はこんなに優しい生き物なのかと思った。
以来、僕はハービー山口さんの大ファンだ。
そしてそんなハービーさんが、写真を学ぶ学生に対して放った言葉。
「もし写真に真剣に取り組むなら、今はお金を写真の為に使った方がいい。お金をフィルム代にしたり、旅に出る為に使うのさ。旅っていうのはどこかに出かけるのも旅だけど、ここでいう旅は、名作といわれる映画のdvdを借りて観たり、写真集を買ったり、人と会ったり、今日、このトークショーに来たことだって大きく括れば旅なんだ。フィルムを買うのも1つの旅だね。」
僕はここの文章を読んで深く感動した。
感動と同時に、今まで自分の中に感覚だけであったものが形作られていくような気分を味わった。
「大好きな音楽も写真も本も映画も、全ての事に意味はあって、それらは人生における1つの旅なのか!」
そんなことを考えている時期にちょうどこの旅ポストのお話が来たのだ。
つくづく人生とは上手く出来ている。
自分の旅を、僕の視点の旅を誰かに伝えられるのなら、どんなに幸せだろう。
ハービーさんのように人の心を優しくしたり、旅ポストの他の投稿者のように見た人をわくわくさせられたらどんなに嬉しいだろう。
こうして僕は自身のスナップ散歩をしっかり旅と定義する事が出来、そしてここ旅ポストに綴る事が出来ている。
思えば、こうして記事を書いていることもある意味僕の中では旅なのかもしれない。
僕の記事を楽しみに思っていくれている人の事を想って、あれこれ考えながら書いているこの時間は人生にとってとても意味のある時間だからだ。